<ワラサフィーバー>とは?
ワラサを釣り上げる大騒ぎの状態を、
楽しげに表現していると思い込んでいた。
半分は、当たっている。
しかし、半分は、釣り上げたその後のフィーバーであったのだ。
14本の2~3キロのワラサを持ち帰った私に、
待っていたものとは?
①食べる
②配る
③保存する
この①~③の行為すべてに、ワラサをサバくという技がいる。
勿論、私的には、そのサバく行為が大好きだ。
早速、サバきにかかった。
出刃包丁を研ぎ、額に鉢巻をキリリと巻いて、
デップリ太ったブリの青年ワラサ君を、俎板の上にのせる。
「ふむ、一匹で、20人前の刺身が取れるナ」
飲み屋のオヤジ的な感想が湧く。
私の包丁サバキは、我ながら見事であり、
あっという間に、分解作業が進む。
ここで、言っておきたいが、私は、
魚をあだやおろそかにしない。
頭のテッペンから、尻尾の先まで、
すべて食べ尽くしたいと考えている。
その考え方を持っている人間が、包丁を握っている。
背後にあるクーラーボックスには、14匹のワラサだ。
う~~む・・
サバくところまではいい。
コレを誰に食べて貰う?
プルルル~
「あのさぁ~今夜、刺身食べたい?」
友人に電話の襲撃だ。
運の良いことに、私の友人たちは、刺身好きだ。
魚好きだとも言える。
ここで、②の配る行為が始まる。
「何時にいる?」
「何時に取りにこられる?」
友人にとって、ただでさえ、忙しい週末に、
イシマル用事が増えてしまう。
5匹をサバイたところで、行き詰まってしまった。
もう、貰ってくれる人がいない!
なんせ、鯵だのサバだのという大きさの魚ではない。
一匹あれば、5~6人で堪能できる魚だ。
この<配る>という行為は、相手を選ぶ。
貰って嬉しい人ばかりではない。
「後は、醤油とワサビで食べるだけにしてくれれば」
これが、まっとうな貰う側の心境だ。
夫婦二人暮らしのところに、20人前の刺身を届けても、
ご迷惑なのは、言わずもがなだ。
そこで、最終手段。
③ 保存する。
かねてより、この日の為に買い求めた、
マイナス25度の冷凍庫が登場する。
バラバラに分割した大量のワラサの身を、
パックに小分けして冷凍するのだ。
板前さんの私は、額に汗水して、働いた。
たぶん・・釣り船の上で、
ワラサフィーバーを味わっていた2倍の労力を、
釣り上げてからのフィーバーで搾り出したのではないだろうか?
釣るのは、楽しい。
サバくのも、楽しい。
食べるのは、また、楽しい。
おっ、ワラサの画期的な食べ方を思いついたゾ!