<ワラサの一本丸ごと姿焼き>ってどうだ?
急に思いついてしまった。
ワラサとは出世魚ブリの、青年である。
体長60センチを超え、体重2キロから5キロにもなる。
そんな奴が、10数匹も釣れた興奮冷めやらぬ我が家に、
友人家族がやってきた。
刺身、シャブシャブ、蒸し、焼きと、
手を変え品を変え、繰り出す私の料理芸にも、
そろそろ限界があった。
そこで、頭の上に電球が灯った。
「一度もやったことのない食べ方をしよう!」
<ワラサの丸焼き>
イワシ、秋刀魚では常識の焼き方が、
これほど大きな魚になると、誰もやろうとしない。
まずもって、勿体ない。
「刺身にすれば幾らだと思ってるんだ!」
お叱りを受けてしまう。
勿論、家庭用ガスコンロでは無理だ。
外で炭火を熾した。
<三浦半島剣崎沖一本釣りワラサ>
をそのまま置いた。
「いったい、いくらすると思ってんだ!」
お叱りの声を、ものともせず、遠火の強火でジワリと焼いた。
焼きを待つ友人の子供たちが、
ワラサの価値を度外視して待っている。
一本丸ごと焼くという・・
やって良かったのか悪かったのか、
罪悪感と、困惑で、おどおどしている自分がいる。
まずもって、焼けるのかどうかすら解らない。
炭の力に頼るだけだ。
「は~い、焼けたよ~~ん」
で、食べた全員の感想・・
「うんめえぇぇ~~~!」
素直に焼けを待っている子供たち。