イシマル探検隊に、新たな隊員が加わった。
今年から、登山を始めたという<杉山君>だ。
ただし、入隊資格には厳しい制限がある。
果たして合格できるだろうか?
「八ヶ岳に登るゾ!」
隊長の電話を受けた杉山君は、
すぐに新しい登山靴を買うべく、スポーツ店に向かう。
靴に足を通すや、すぐに丹沢の山に向かった。
靴をならそうとしている。
なれない靴をなんとかしようと、
通勤にも履いてゆく。
山行きに燃えているのだ。
雨の日も履いてゆく。
その日も雨だった。
履いて帰るや、どっぷり濡れた登山靴を、
玄関先に干しておいた。
そして・・・翌朝。
「ない!ないないない!」
登山靴が無い!
盗られた!
八ヶ岳に登るべく、新調した高価な靴がない!
「あの~登山靴を盗まれましてぇ~」
杉山君の声は沈んでいた。
「昨年は、妻の靴も盗まれまして・・」
『あそ』
「そんなとこ置いとくからだよって言ったら、喧嘩になって」
『あそ』
「で、今度はボクのが盗まれて」
『玄関先で?』
「玄関先で」
『つまり、外で?』
「ええ、外で」
杉山君、イシマル探検隊入隊の合否を伝えます。
<君は、
そのお馬鹿さにおいて十二分の成績を収めたので、
見事合格といたします>