「うわぁ~~~雪だ!」
八ヶ岳山頂の小屋で目覚めた我々のまわりは、
真っ白の世界が広がっていた。
今年の八ヶ岳、初冠雪である。
2700m以上が、白化粧をほどこされている。
昨日とうって変わって、見事な晴天!
台風一過とは、まさにこんな日を指す。
「アレが、穂高岳、槍岳、アレが剣岳・・」
私の講釈を山頂で聞いている隊員たち。
『え~と、ここに立っているのが怖いんですけんど』
「何をビビっとる、昨日あんな岩場を登り降りしたクセに」
『きのうは、雨で、何も見えなかったから』
「アレが浅間山、アレが谷川岳・・」
『ボクらの後ろ絶壁ですよネ』
「うん、今から、そこを降りる」
『雪積もってますヨ』
「三点確保を確実に!」
『ハイ!』
三点確保とは、岩場の鉄則ルールである。
手足4本のうち、常に三ケ所が岩を掴んでいる状態を保つ。
簡単なやり方はこうだ。
手を動かす時は、手だけを。
足を動かす時は、足だけを。
こうすると、自然に三点確保になる。
はいアナタ、試しに、今トイレまで、
三点確保で行ってきなさい。
周りの人に怪しまれたら、
<パントマイムの練習をしている>と言い訳をしなさい。
「そうそう、アレが富士山」
『知ってます!』