<一味>VS<七味>
これを戦いにしていいのかどうか疑問なのだが、
私的には、戦わせてみたい。
テーブルに置いてある唐辛子を
どちらが好きかとの問いだ。
まず最初に、私のポジションを明示しておこう。
<一味派>である。
では、先行として、<一味派>の意見を述べよう。
《一味派》
一味は、蕎麦屋にお目見えする。
温かい蕎麦には、純粋な
辛いだけの、一味が有効である。
七つもの味が、蕎麦湯の中に浮かんでしまうと、
肝心の蕎麦が、しらけてしまう。
ほのかな蕎麦の味を消し飛ばしてしまう。
《七味派》
あ~たねぇ、「ほのかな蕎麦の味」と仰いましたネ。
温かい蕎麦で、
ほのかなんか解かりやすか?
そこは、いっそ七味で、山椒の香りとか、ぶちまけた方が、
いいんでないかい?
《一味派》
言っときます。
七味をぶちまけたら、蕎麦の味は分りません。
でも、一味なら、分るかもしれません。
蕎麦通としては、可能性はいつも、残したいのです。
《七味派》
あっそ、ほんだけんど、一味は辛いだけじゃん。
七味は、鍋とかで、ふくよかな香りを振りまくゼ
なんせ、七つ香味が入ってるだもんナ。
《一味派》
おっ、鍋と仰いましたネ。
その鍋が問題なのです。
鍋が出されると、皆が皆、「しちみ、しちみ!」と、
手を伸べる。
「課長、七味はこちらです」
七味の在り場所で、その飲み会の有りようが決まる。
上司に近い場所に、七味は常にあり続けなければならない。
なぜか?
七味とは、飲み屋で、上司を立てる標識的な存在なのだ?
『おおい、七味あるかい?』
上司が、腕をさまよわせる。
「あっ、こちらに御座います」
っと、ここまではいい。
これが、何度も続くと問題になる。
『七味は、どこ行った?』
「ええ~と、おおい、本田くん、その七味寄こせ!」
『わたしゃ、焼き鳥には、七味がないとネ』
「七味どこ?ううむ、又、本田くんの所かい!」
『この店は、七味はひとつしかないのか?』
「か、課長ぅ・・今すぐ七味の在り処を・・」
結論;
よって、一味派としては、
揉め事が起こり易い七味を遠ざけたい気分でいっぱいなのです。