「気ぃ使わんといてネ」
人ンちに遊びにいくと、この言葉をかけられる。
もれなくかけられる。
ところが、これほど気ぃ使う言葉もない。
行く前から、
てぶらでいいのかのクエスチョンマークが、
頭の上をヒラヒラ舞っている。
玄関入った途端、縦の物を縦にしたり、
横のものさえ、縦にしたり、
気ぃばかり使ってしまう。
この原因は何だろうか?
考えた。
熟考した結果、私は気づいてしまった。
《訪問者に、仕事を与えないからだ》
何もしなくていいよ・・と言われるほど辛いものはない。
仕事がないのは辛い。
出来るのに、その仕事を取り上げられるほどシンドイものはない。
そこで、我が家では、新しく規律ができた。
「気ぃ使ってネ」
訪問者に、「気を使え」と、最初から命令している。
食べたら、皿を洗うフリをしろ・・とか、
掃除機を使うフリをしろ・・とか、
布団を干すフリをしろ・・とか、
気を使っているフリをしろ・・と命じている。
するとどうだ?
仕事を与えられた彼らは、急にリラックスし出したではないか!
勝手に冷蔵庫を開け、勝手にトイレを使うようになった。
勝手にテレビをつけ、知らない間に眠るようになった。
よしよし・・
ん・・?
ナカヒラくん、君は、すでに充分リラックスしているようだから、
めいっぱい気ぃ使わんといてネ!
はまる私