<後藤散> (ごとうさん)
風邪薬である。
大分県に古くからある
風邪の特効薬だ。
「頭痛いよお~」
子供がグズると、大分のお母さんは漏れなく、
『後藤散、飲みなさい!』
大分県でしか通用しない、特殊な言語なのだが、
大分県では、
ゴトーサンが、風邪における公用語なのだ。
確かに、利く!
ゴトーサンさえ飲んでいれば、風邪の熱は引いた。
「えっ、ゴトーサンって、日本中に無いんかね?」
能天気な声をあげたアナタは、まぎれもなく、大分県人だ。
熱が出れば、ゴトーサン、腹が痛ければ、セーロガン。
二つの薬があれば、こと足りた。
あえてもう一つ言えば、ヨードチンキ。
三つの薬で、生き延びようとしている我らであった。
あれから、数十年・・・
やはり我が家では、
3つの薬だけが、幅をきかせている。
他にも薬はあるのだが、出番が殆んどない。
主人公は、ゴトーサンとセーロガンである。
ヨードチンキ・・は、とんと出番がなくなった。
なんせ、転ばなくなったんでネ。
ヨードチンキの変わりに活躍しているのが、
なにを隠そう、
<バンテリン>である。
筋肉痛の薬である。
時代が変わったのではなく、
私が変わったのだ。
筋肉痛が、最大重要課題になったのだ。
ところで、昔の薬の包み方、知ってる?
こうだ。
開くとこうだ。
「え~うっそ!」
と驚いたアナタ!
ん十年したら、バンテリンの
チューブの出し方を、
アナタが解説してるかもよ。