「おい、滝田くん、認知症のテストだ」
『なに、突然』
「今日は、何曜日?」
『わかんないヨ、サラリーマンやめたからサ』
「はい、かなり進んでますねえ」
『なにそれ、自分は、何曜日か分ってんの?』
「ドキッ」
『あっ、今、心の声をおもわず出したネ』
「ゴクッ」
『はいイシマル君、今日は何曜日?』
「・・22日」
『日にちはいらない、間違ってるし』
「おいらさ、30過ぎてから、曜日がわかんないんだよ」
『お、言い訳かい』
「職業がら、日にちも、ほとんどわかんない」
『日にちもかい?』
「大晦日はかろうじて分る、夜遅く、皆がソバ食うから」
『正月は?』
「元旦は特定できない、3日間、おめでとうと言ってるから」
『餅も食べるでしょ』
「3日間食べてるから・・」
『じゃ、クリスマスは?』
「わかんない、12月入ったら、毎日クリスマスみたいだし」
『若い時、イブにデートとか、しなかったの?』
「ない、ずっとアルバイトで」
『若くなくなってからは?』
「ずっと仕事だったから、クリスマスは」
『夜遅くまで?』
「♪~ガランゴロン~」
『おっ、山下達郎だネ』
「♪~
我は夜更けすぎぃにぃ~
ウチへと帰るだぁろォ~♪」
『今日、そのイブだよ、イシマル君』
「うっそ、今日、休みじゃ~~~ん!」
『どうすんの?』
「浮かれる」
『あら、もうスキップしてるし』
「・・・・・」
『どったの?』
「浮かれて・・どうしたらいいのか、わかんない?」
『ワインとケーキじゃない?』
「それ、誕生日にやったナ」
『誕生日は覚えてんだ?』
「日にちは知ってるけど、その日がいつ来るかわかんない」
『で、わかったの?』
「皆が、ケーキ持って押しかけてきたから」
『ボクが、不二家で買ってきたんじゃん』
「そ、滝田くんが、ほとんど食べた、日本酒呑みながら」
『はい、じゃイシマル君、今年は何年』
「2012年」
『じゃ、来年は、なにどし?』
「・・猫」
『猫はない!』
「とり・・」
『巳年でしょ。オレたち年男だゼ』
「ガ~~~ン!
36才!」
『浮かれてろ!』
塚原小太郎クリスマスジャズライブ