腕時計を持っていない。
だからしていない。
人間には、体内時間があるという。
私には、私時間がある。
たとえば・・・
ぼんやりしている・・
夜中に目が覚めたらしい。
覚めたといえるほどではないが、意識がよみがえっている。
ゆうべ、遅くに布団に潜り込んだ。
確か、6:30に目覚ましをセットした。
ここは、自宅ではない。
どこか遠征先のホテルらしい。
だから、音や光による、現在時刻の推測ができない。
(もうちょっとだな・・あと一時間半くらいだな・・)
しばらくして・・
(よし起きよう、たぶん今、6:15くらいだ)
ガバと起き、目覚ましを見る。
《6:23》
「どうだ!」
誰にともなく、声を発する。
何がどうだか分らないが、誤差は15分以内だ。
これが日中だと精度が増す。
ウインドサーフィンで海に出ている。
かれこれ4,5時間走り回っただろうか・・
誰ともなく発する。
「今何時?」
私が推測を述べる。
『2:48かなあ』
誰かが携帯をとりだす。
「残念・・2;44」
どうだ!
ウエットの胸を張り裂けんばかりに張っている。
誤差は、10分以内だ。
さらに、これが、仕事中だとエスカレートする。
ドラマのロケが、深夜におよぶ。
役者が、ポツリ。
「今何時だろう?」
私が、反応する。
『23:11』
スタッフが、腕をめくる。
「23:14で~す」
どうだ!
鼻から、大量の白い息が吹き出る。
誤差は、5分以内だ。
ピタリ当たった時にいたっては、ふんぞり返り過ぎて、
おヘソがシャツから出ている。
どうだ!
「イシマルさ~ん、名優はあまり、時間気にしないらしいヨ」
『あっそ』
勉強に没頭する二宮金次郎像