冬山では、道が分からなくなる事が頻繁におこる。
基本的には、道しるべとして、雪の上に旗が立ててあったり、
木の枝や幹に、赤や黄色のテープが縛られてある。
ところが、その目印が風で飛ばされたり、
雪に埋もれていると、
どっちへ行けばいいのか、皆目分からなくなる。
これが、雪の無い時期であれば、
周りを軽く歩き回って道を探せばよい。
ところが、積雪期にそれをやるとどうなる?
自分の足跡が、雪に残る。
トレースと呼ばれる踏み跡だ。
冬山を歩く登山者は、トレースを見つけようとしている。
「こっちにトレースがあるゾ~」
正しい道の標になったりする。
もし、そのトレースが間違っていたら・・?
つまり、間違ったトレースをいくつも自分が付けていたら?
後からやってくる登山者の迷惑になるのだ。
では、どうする?
二手に分かれる。
「滝田くん、20mだけ、それぞれの方向に進んでみよう」
目を凝らして、赤いテープを探すのである。
見つからなければ、さらに20m進む。
「あったゾ~!」
滝田くんの大声に、来た道を戻る。
間違えた私の起点に、
枯れ枝をバッテンにして置く。
(こっち、間違いネ)
それにしても、滝田くん、
赤いテープは見えないんじゃなかったの?
「あれは、夏の話。緑の中の赤は見えない。
だけど、今は白だから・・」
見えない
掘り出す