鹿の害が叫ばれて久しい。
今や、山は、鹿に食い尽されようとしている。
若い木の芽や皮が、ガリガリ食われている。
笹は、食べやすいらしく、ある山からは無くなった。
その鹿をなんとか、しとめようと、猟師が鉄砲かついで、
山に入ってゆくが、
なんたって逃げ足の速い鹿だ。
追ったって、追えるもんじゃない。
以前、山麓を鹿が集団で疾走している場面に出会った。
林間を、音もなく、走りぬけてゆくスピードに、
たまげてしまった。
ウサインボルトもまっ青である。
しかし、鹿が減らないのは、その逃げ足だけではない。
あの愛くるしい目に、我々人間が惑わされるのである。
「♪~小鹿のぉバンビぃは可愛ぁい~いなぁ~♪」
バンビで育った我々には、鹿は可愛いくて、
ぬいぐるみにもして、
間違っても、食欲をそそるモノではない。
シカ肉が好きな私でも、さすがに小鹿を見つけて、
涎を流すような無作法をしない。
これが、猪だと話がかわる。
猪の子供のウリンボも可愛い。
しかし、ウリンボを見て、
今夜の鍋を想像し、涎がこみあげる自分を嫌いではない。
出来れば、親猪の方を期待したいが・・
3大害獣と言われる、猪、鹿、猿であるが、
鹿だけは、どうも、保護的な観察がなされている。
鉄砲で撃つというより、「頼むから来ないでくれ」的な、
婉曲な駆除だ。
しかし、もはやそんな事を言ってらんない状況かもしれない。
天敵のいない鹿を積極的に駆除しないと、
山の自然が荒廃してしまうかもしれない。
そこで、ある市長さんが、こんな事を言いだした。
「オオカミを放したらどうだろう?」
オオカミに食べてもらおうと議会に提案したのだ。
結果は、即、却下されたそうだ。
ま、そうだろな。
オオカミだって、
ウサインボルトより速い動物をいちいち追いかけなくても、
服を着たのろい動物を襲ったほうが効率いいしな。
脂肪もたっぷりついて旨そうだしな。
そりゃ、却下されるわな。
ところで、
最近の鹿は、逃げやしない。
人が近寄っても、知らんぷりだ。
そのうち都会の駅にハトが居座っているごとく、
山道に、鹿がゴロゴロたむろするようになったらどうする?
っとここまで書いたところで、携帯のメール受信が・・
ひらいてみると、伊豆に住む義弟からだ。
なになに・・?
なんでも昨夜、バイクで帰宅途中、
突然、消防署の近くの道路の真ん中に5,6頭の鹿が出現!
避ける間もなく、
そのまま突っ込み、鹿はぶっとび、自分もぶっとび、
本人は軽傷ですんだものの、バイクは破壊!
「おにいさん、
鹿は馬
鹿だから気をつけて下さい」
すごい!驚いた!
私が考えているより、はるかに早く、
足音は、ヒタヒタとせまっているようだ。
さっき、山麓と書いたが、
麓の字は、
林の下に鹿がいるんだわナ。
「こら、逃げんかい!」
「すくなくとも、コッチを見んかい!」