斜めになった土地に、門扉(もんぴ)を造ろうとしている。
門扉を造るには・・失礼・・
門の扉とは、読んで字のごとく扉だ。
その扉を素人の私が拵えようとしている。
その場合、
垂直の柱と、
水平の横棒がいる。
では、その水平はどうやって導き出すのだろう?
冒頭で述べたように、あくまで<斜めになった土地>だ。
「水平をとるにはどうしたらいい?」
私の質問に、友人のチョクが反応する。
「ホース有ります?」
チョクとは、水道管関係のプロだ。
水が流れる事に、事のほか詳しい。
事のほかという言い方が失礼なほど、水流に通じている。
チョクの教えに導かれ、ホースを持ってきた。
「ホースに水を入れて下さい」
入れた。
「それぞれ両端で持って下さい」
門の両側で、ふたりでささげ持った。
「それぞれの
ホースの水面を、立てた棒に記録して下さい」
立てた棒にマジックで線を引いた。、
そうか!
サイホンの原理で、それぞれのホースの水面は、
地球の中心から等しい。
それが、水平線だ!
「チョク!おまえ凄げえナ!」
私の感激の声に・・
『いやあ~俺らぁ当たり前の事なんで、感動されてもぉ~』
そうだった、チョクには当たり前の事だった。
毎日の仕事の範疇だった。
当人には当たり前の事が、それを知らないよそ様には、
感動を呼び起こす魔法に思える事がある。
コレを世間では、<職人技>と呼んでいる。
これからは、
《
職人技が、世の中にこぼれる》時代だと、
ささやいてもいいかもしれない。
弟子にも教えねえと口を閉ざしていた棟梁達が、
口元を緩ます春を迎えたのかもしれない。
さすれば!
まず、訊きたい!
チョクよぉ、うちの庭にモグラがボコボコ穴開けてんだけんど、
どうしたらいい?