ある蕎麦屋の追加メニューだ。
《そば大盛り 100円》
ふむ、理解できる。
《そば特盛り(二枚重) 300円》
なるほどなるほど、そのくらいは取るでしょうナ。
《ご飯大盛り 100円》
はい、常識的な値段だ。
《
そば汁追加 400円》
ん・・?
なんですと?
私は、この蕎麦屋さんの、もりそばを頼んだのである。
700円と書いてある。
そばには、つけ汁が付いてくる。
食べ方によっては、(例えば、天ぷらそばなんかの場合)、
つけ汁が足りなくなる。
もう少し欲しい。
「すみませ~ん、つけ汁オカワリくださ~い」
ここで、
『は~い、すぐお持ちしまぁ~す』
と声がかかる店ではない、この店は・・
つけ汁のオカワリの値段を、しっかりと明記してあるのだ。
(つけ汁は高いんだからネ!)
追加メニューの最後に、重しのように、主張している。
ここで、目がうろつく。
もりそばが700円だよな。
で、つけ汁は、400円・・?
つけ汁が主役なの?
そうだったのだ。
そばは、つけ汁を作るのが、容易でない。
つけ汁こそが、その蕎麦屋の秘伝の味だ。
そうそう簡単にオカワリされてたまるものか。
よもや、オカワリした挙句に、
汁を残されでもしたら、
よなべまでして、蝶よ花よと育てたつけ汁が、勿体ない。
もし追加注文するのだったら、
その覚悟をしてちょうだいネ。
覚悟代として、400円払ってもらうからネ。
400円払う覚悟も、ふんぎりもつかねえ奴ぁ、
醤油でもぶっかけて食ってくんな。
うちじゃ、ちょうどいい分量お出ししてんでぇい!
覚悟のない私は、いい分量に合わせて、そばを頂いた。
(ちょっと足りないかなあ)
と思うくらいが、そばは旨いと理解した。
そうか!
博多トンコツラーメンは、替え玉ができる。
今度、替え玉の代わりに、お願いしてみよう。
「すみませ~ん、
替え汁くださ~い」
みんながやりだしたら、きっとそのうち、
メニューにのるだろう。
《替え汁 400円》 (覚悟代)