北海道に行ったら、何を食べればいいか?
答えは、「何を食べても旨い」
えっ、それじゃ答えになってないって?
そんじゃあねぇ、とっておきのこいつを教えよう。
北海道以外では、食えないので、
耳をかっぽじって、ペンを用意して聞くんやゾ。
《イカごろルイベ》
ルイベという北海道特有の食べ方がある。
マスをいったん凍らせて、凍ったまま刺身にし、
溶かしながら食べる食べ方だ。
イカごろルイベとは、そのイカバージョンである。
作り方は、いたって簡単。
新鮮なイカを捌いて、刺身にする前の、身を開いた状態にする。
そこに、イカのハラワタを並べる。
ハラワタとは、キモのことだ。
一匹の身に、3匹分のハラワタを並べるとよい。
その身をクルクルと巻く。
元のイカの状態に近づける。
それをラップして、冷凍庫に放り込む。
おしまい。
ほら、簡単でしょ。
料理と名のつくもので、簡単ベストスリーにはいるだろう。
「
イカごろルイベください」
北海道の飲み屋にはいり、メニューにコレがあれば、
迷わずたのむ。
やがて、小鉢に入ったそいつが出てくる。
凍った本体を5ミリの厚みで、輪切りにしたものだ。
まだ凍っている。
いや、ちょっと前まで凍っていたが、溶けつつある。
箸でつまみ、ワサビ醤油につけ、そっと口に運ぶ。
ホワッ~
一瞬冷たい。
しかし、それも束の間・・
舌の上で、ワタが、たちまち溶けてゆく。
その溶け方は、チョコレートが溶ける時の感触に似ている。
しかも冷たいとくるのだから、チョコアイスである。
チョコアイスとの違いは、砂糖の甘さではなく、
ハラワタ特有の旨さであると言える。
そこに、冷酒をちょびっと口に含めば、
それはそれは・・めくるめく官能のひとときが訪れる。
しばし溶けてゆく余韻に浸るのだ。
人によっては、天をあおぎ、
人よっては、うっぷすと言われている。
私の場合は、「ハアァ~」
半眼のまま、次なる一切れを狙っている。
イカごろルイベだけは、同行呑み仲間との争奪戦なのだ。
早い者勝ちのごちそうである。
「ほおっておけば、溶けちゃうもんネ」
完璧なる言い訳が用意できている。
「溶けちゃったら、ルイベじゃなくなるもんネ」
強引なこじつけすら用意している。
「遠慮の一切れ、食べちゃおうかなぁ~」
『すみませ~ん、いかごろルイベもう一つ下さい』
「あっ、ズルイ!」
北海道のおみやげ<黒い恋人>?