《睡眠中に眠くなったらどうしよう?》
今、変なことを言った。
睡眠中なんだから、眠くなるのは当たり前だ。
しかし、今問題にしている睡眠中とは、
夜ぐっすり寝込んでしまう睡眠ではなく、
昼間、列車の中などで、うつらうつらしている睡眠中だ。
そう、列車だ。
僕らは、なにげなく列車で眠っている。
目ざましを掛けるでもなく、眠っている。
なんとなく起きていながら、瞬間的には意識がとんでいる。
気持ちは、眠ろうとしている。
そのくせ、本当に眠ってしまってなるものかと闘っている。
眠ろうとする心と、
眠っては駄目だという心が、
せめぎ合っている。
おおむね、後者が勝ち、問題が起こる前に、列車を降りる。
殆どの機会で、失敗をしない。
この制御の仕方は、実に見事だ。
我ながら、アッパレである。
うつらうつらの、脳ミソが、各々の駅を認識し、
来るべき未来の予測を立てている。
そして、ちゃんと降りる駅直前に覚醒するのだ。
すごい!
むしろ、しっかり起きていて、考え事をしている時に、
落とし穴がある。
「しまった、降りそこなった!」
駅を通り過ぎて、あたふたする。
あのうつらうつらの状態とは、人間として、
いったい、どういう位置づけにあるのだろう?
魚は泳ぎながら眠っていると云う。
馬も立ったまま眠る。
半分眠り、半分覚醒して生きている。
その不思議な状態を、自分で演出しているのが、
列車での、いねむりだ。
私には、あのいねむりが、
座禅でいきついた究極の境地に思えてならないのだが・・