東京タワーの真下に、昔から水族館がある。
水族館が、巨大化している中で、どちらかというと、
昔風の、こじんまりした水槽による魚見学である。
淡水魚が主体だ。
その数と種類は多い。
同行している洞窟探険家の吉田さんは、いたくお気に入りだ。
水槽に目を近づけ、品定めしている。
あの目つきは食事方法を考えていると思われる。
そんな時だった。
窓が丸い水槽の前までやってきた。(冒頭の写真)
壁に丸い穴があいている。
それは、洞窟探検家にとっては、横穴に見えるのかもしれない。
見ていると、その丸窓に、顔をどんどん近づけてゆく。
写真を見れば解るが、その窓のガラスは、
凸レンズだ。
外側にとび出ている。
そのまま、吉田さんの顔が近づけば・・・
ガツンッ!
当然の激突がおきた。
額と凸レンズガラスがぶつかった。
思わずよろめく吉田さん。
何が起こったか理解できていないようだ。
確かに正面からだと、普通のガラスに見える。
それで、目測を誤ったとみえる。
「うぅぅ、痛ぇ・・」
『なんでも丸いところに入ろうとするからですよ』
ところで、東京タワーのトイレはキレイだ!
手を洗う洗面器具に、吉田さんがいたく気に入った。
一つの洗面器具で、石鹸水と水が出て、乾燥までやってくれる。
その形状を穴があくほど眺めている。
はは~ん、この形状はアレだ!
丸くて漏斗のように窪んで、最後に、水が流れていく穴がある。
ソレって、洞窟の出来始めの《ドリーネ》って奴だな。
カルスト地形の中に、漏斗状にくぼ地が出来ている・・
いわゆる洞窟の入り口だ。
東京タワーのトイレで、洞窟を想像するヒトは、そうそういまい。
『さっ次は、どこ行きますか?』
「池袋の本屋で、洞窟フェアをやってるらしい!」
『はいはい、行きましょ!』
お気に入りの手洗い