「こ・・こぼれる」
いったいどうしたことだろう?
今、夜中の2時頃。
布団の中で仰向けに横たわっている。
私は、口をいっぱいに拡げ、天井を向いている。
口の中には、満タンに満たされた水が入っている。
ほんのちょっとでも揺すれば、こぼれる。
ちょうどグラスに水が満々と入れられた状態に似ている。
なぜ、こんな事になったのか?
就寝中に喉が渇き、水を飲みたくなる。
ゆえに、枕元には、眠る前に、
500CCのペットボトルを置いておく習慣がある。
この水の減る量が、
夕べ
食べた物質の塩分の測りとなる仕組みだ。
コポコポコポコポ
夜中に判覚醒状態で、ペットボトルを傾ける。
ガバと起きあがる事はしない。
横たわったまま、クビをわずかに傾け、
ペットボトルから、直接、水を注ぎ込む。
さして喉が渇いてない時だと、コポコポで終わる。
ゴクンとやれば、すぐに二度寝だ。
ところが、今夜は、二つの悪い偶然が重なった。
ひとつ・・喉がかなり渇いていた。
二つ・・いつもより出口が大きいサイズのペットボトルだった。
出口が大きいと、1コポで出る水の量が、2割増しである。
コポコポコポコポコポコポ
6コポで、突然、口が満タンになった。
「こ・・こぼれる」
すくっ、と天井を向く。
幸い、こぼれていない。
唇の先の、表面張力でがんばっている。
や・・やばい。
どうする?
ベッドから出ようとするが、全く動けない。
口を閉じようとするのだが、
アゴを動かしただけで、唇の端から、こぼれようとする。
では、飲めばいいのか?
この体勢で、嚥下(
えんげ)できるのか?
満タンに水が入った口を空に向け、
口を開けたまま嚥下が出来るのか?
もし、まかり間違ったら、肺に水が入ってしまい、
就寝中溺死などという新聞ざたになるかもしれない。
やってみるか?
ゴ・・・・
いや、ダメだ、できそうにない。
アナタに今、実験してもらいたい。
水は入れなくてもいいので、真上を向いて、
口を大きくあけ、嚥下をしてもらいたい。
(今、会社の中だったら、やめた方が賢明です)
どうです?
できました?
出来たというなら、その中に水が満々に入っていたら、
どうでしょう?
どうしてこんな事が起きるのだろう?
情けなさに、涙がでてくる。
そっか、涙で濡れる枕もあるじゃないか。
水がこぼれて枕が濡れてもいいじゃないか。
ゴボッ・・
ああ~夜中はいそがしい。