《ヤマメ》って、養殖?
ヤマメとは<山女>と書き、川の上流に棲む希少魚である。
希少魚といった割りには、たくさん釣れている。
なぜ、釣れるか、アナタは知っているだろうか?
釣れる理由は、
ヤマメの養殖魚を、放流しているからだ。
今、日本中でヤマメの養殖魚を放流している。
なぜ、放流しているのだろう?
答えは簡単。
釣り人がいるからだ。
その昔、ヤマメを釣るには、決死の覚悟がいった。
誰も、入っていない渓谷に、密かに入った。
釣りというより、忍びの技術が要った。
人間の姿をちょいと見ただけで、暫く姿を見せなくなるヤマメだ。
どのくらい暫くかと云うと、
24時間顔を見せなくなることもある。
これが、自然界で生まれ育ったヤマメだ。
その敏感なヤマメの養殖を成功させたのは、日本人である。
宮崎県の五ヶ瀬川上流で、養殖は成し遂げられた。
《秋本治》さん。
「天然ヤマメを捕ってきてナ、孵化させたんじゃがナ」
『ええ』
「エサをあんまし食わんのヨ」
『くいしんぼじゃない』
「なかなか大きゅうならんのヨ」
『チビばっか』
「ところがあるとき・・偶然!」
『(ごくっ)』
「狭い所に、いっぱいヤマメを詰め込んだんじゃ」
『ほったら?』
「バグバグえさ食いよってナ」
『負けまいとしてですかね?』
「理由はわからん・・」
しかして、大きく育つヤマメを飼育できた。
そうなると、人間を警戒しないヤマメが育つ。
その養殖ヤマメを川に放流しているので、
釣り人が比較的安易に釣ることができるのである。
しかも、この五ヶ瀬川では、入漁料金を取っていない。
誰でもタダで、川でヤマメ釣りができる。
『ヤマメとイワナはどう違うんですか?』
「アンタの質問は、アジとサバはどう違うかと、
聞いちょるようなもんじゃな」
『失礼しました~』