飛行機の窓から、下界を眺めている。
次から次に現れる街なみ、山なみ。
島々・・
窓枠に顔を押し付けて、覗き込んでいる。
これが、問題をおこす。
今日の飛行機の席は、Aだった。
羽田を飛び立って、西に向かうと、左側の席だ。
たまたまAだったのではなく、
Aをおさえたのだ。
「今日は、海側がみたい」
単純な理由からだ。
そして、窓ガラスに顔を押し付け続ける。
首は左に捻じ曲がったままだ。
すると・・どうなる?
1時間が過ぎると、
私の首筋は、悲鳴をあげる。
寝てもいないのに、
ネチガイをおこす。
右をみようと、首を振るのだが、
素直に向いてくれない。
ギギギギ
金属系のきしむ音がする。
到着空港の荷物受け取りコーナーは、
私の<首ストレッチ場所>である。
さて、行きはなんとかなった。
問題は帰り便だ。
帰りは、行きと反対の方向を向く席に座りたい。
同じAだと、同じ首筋を痛めてしまう。
(うわあ~又Aだ!)
「すみません、反対の窓側ありませんか?」
『申し訳ありません、満席でして・・』
ガ~~~ン!
ど、どうしたらいいんだ・・・
途方にくれていると、同乗の役者仲間がいともあっさりと言う。
「眠ってりゃいいじゃないの」
ああたねえ、もうすぐ夕暮れだヨ。
今日の雲は理想的な
うろこ雲だヨ。
どんな色をみせてくれるか!
眠れるくらいなら、ガ~~ンとか言わないってんだ!