《食事時、箸を二膳使ってはいけないのだろうか?》
日本料理のたしなみとして、箸は一膳のみである。
一膳の箸だけを使って、食事を終えるのが礼儀らしい。
そこで、フランス料理を思い浮かべてみる。
最初から、ナイフだのフォークだのが、数本、
目の前の皿の両側に並べられている。
「外側から、どうぞ」
外側のナイフフォークから使用するのだと、
教わった。
ガシャ~ン。
ナイフを落っことしても、拾ってはならないと、
やっぱり教わった。
ナイフやフォークは、何本でも仕込みがあるらしい。
レストラン側に蓄えてあるらしい。
何十本も、ストックしているらしい。
そこで、日本料理だ。
箸一膳で勝負しなさい、と睨みを効かしている。
刺身も、ステーキも、同じ箸一膳でやりくりしなさいと、
女将の目が光っている。
昨日、自宅ではあるが、この箸一膳に抵抗を覚えた。
目の前には、冷奴がある。
その向こうには、中華料理がある。
その横には、ニンニクたっぷりの肉が焼けている。
これまで、このすべてを一膳の箸で済ましていた。
しかし、
「これでいいのか?」
ささやかな疑問が生まれた。
ささやかな抵抗が生まれた。
「好きに食ってやる!」
そこで、三膳の箸を、握った。
コッチは、この箸で・・
ソッチは、この箸で・・
アッチは、この箸で・・
しかして・・
今、三膳の箸が、目の前の皿周りに、置かれている。
とても解り易い。
ソレを食べたければ、ソノ箸を・・
コレを食べたければ、コノ箸を・・
アレを食べたければ、アノ箸を・・
「イシマルさん、日本の食文化を壊してますヨ」
うん、自覚してる。
でも、そろそろ、
これぐらいの贅沢はしてもいいんでないかい?
これを贅沢と言うならば・・
伊豆大島上空