《カカシの釣り人》
なぜ、夢の中で、
「コレは夢だ・・」と認識できないのだろう?
初めてみる夢なら、それは無理かもしれない。
2~3回目の夢でも、無理かもしれない。
ところが、これまで、数百回、
いや、1000回以上見続けている夢なのに、
未だ、一度も「コレは夢だ」と気付かない夢がある。
その夢とは、
《
トイレが汚い夢》だ。
恐らく、寝小便をしないように、睡眠中に小便が溜まってくると、
汚いトイレに行かせて、絶対に漏らさないように、という
自助能力が働いているとみえる。
それはそれでいい。
素晴らしい能力だと、感心すらしている。
ところが・・・
この夢を見るようになって、数十年が過ぎた。
この10年近くの間に、
《汚いトイレ》の夢をみる理由も、
私自信によって解き明かされた。
つまり、
夢が私を騙そうとしている策略は、
もう
私にバレたのだ。
他人にも話したし、こうやって文章にまでおこしている。
本人にバレていることは、本人が知っている。
だのに・・・
夢の中では、私は、いまだ汚いトイレを徘徊している。
(コレは夢だ)と気付かない。
なぜ、気付かないのだろう?
バレた事を知っている私と、夢を見る私は違う人格なのだろうか?
使っている脳ミソが違うのだろうか?
っと、ここまで話して、ふと大きな過ちに気付いた。
もし・・もしだよ。
バレた事を知っている私と夢見る私が、同調したとしたら・・・
すべてを共有したとしたら・・
ある夜、私は、
寝小便をする羽目に陥る。
ガ~~~ン!
私は、私の秘めたる能力の邪魔をしてはいけないのだ。
気付いてはいけない事柄に、気付いてはいけないのだ。
こんな話自体、してはいけないのだ。
今すぐにでも頭を振って、この話題から離れなければならない。
今後、徹底して知らんぷりをしなければ、
いつか、あわやの惨事にみまわれる事になる。
夢の話など、忘れよう。
「そ、トイレは汚いのだ」
私は私を騙し続けなければならない。
私の無意識の意識に、呼びかけてはならない。
知らんぷり・・知らんぷり・・
ううぅ・・
頭から離れんなあ~
もうひとりの私さんよぉ~
あんたも、知らんぷりしててちょうだいネ。