スキーを始めた。
スキーをやるのは初めてではない。
18才の時、一度やり、
42才の時、一度滑った。
滑ったと言うより、転んだ、という程度の滑り方だった。
そして、今回・・3度目のスキー。
長野県の北八ヶ岳にある、スキー場に行った。
先生は滝田くんだ。
滝田くんは、スキーがうまい。
本人も、「うまい」と自己判断している。
うまい滝田くんにマンツーマンで、二日間指導してもらった。
まずは、道具レンタルの方法。
リフト券の買い方。
スキーの履き方。
ゲレンデに出るや、ボーゲンから始まり、
曲がり方、身体の使い方、ひざの入れ方、
ストックの使い方・・・
お昼ご飯を食べる場所。
スペシャルランチ1100円の頼み方。
何から何まで、うまい滝田くんに教えてもらった。
結果、二日目の終わり、最も高い地点から、
高度差500m、一度も転ばず、
スイスイと滑って降りれるレベルにまでなった。
もちろん、ボーゲンではなく・・・
(スイスイというのは、あくまで個人の感想です)
途中の、<上級者コース>も、空いてたので、入ってみた。
初心者の私には、崖の様に感じたのだが、
なんとか滑り降りた。
何事も、良い指導者につくべきである。
その直後。
うまい滝田くんが、腕をみせつけるかのように、
その急斜面を、颯爽と滑り降りてきた。
ちょうどその時、イントラの方6人が、
傾斜の下段で見守っていた。
最後のターンを切り返したところで、
どうしたことか、逆エッジが引っかかり、
ズッデ~~~ン!
うまい滝田くんがひっくり返った。
っと、スキー板が両足ともふっとび、
本人は、ゴロンゴロンと転がり、滑り、
30m先で、うずくまった。
「大丈夫かあ~?」
問いかけると、何もなかったかのように、起き上がり、
『へいきへいき』
しかし、私はうまい滝田くんの顔から、
心の動揺を見逃さなかった。
せっかくいいところを見せようとしたのに、
転倒しちまったのだ。
はからずも、イントラに見られてしまった。
その恥ずかしさを、隠しているのである。
ほんとは、かなり痛いはずだ。
それを押し隠して、
「だいじょぶだいじょぶ」
何気なさを装いながら、スキー板を拾っている。
そうか、うまくなると、
<格好悪いところを見せられない>という、
新たな悩みが生まれるのだな。
ヘタなうちは、恥ずかしさも、照れもなく、
思いっきり転べるんだな。
よし、今のうちだゾ、何でもやれるのは!
25度の傾斜もこのとおり