ホテルのバスルームにいる。
バスタブの中に立っている。
目の前に3つのボトルが並んでいる。
手のひらにすっぽり入るほどのボトルだ。
おそらく、この3本の正体は、
シャンプー、コンディショナー、ボディシャンプーだ。
たぶん、表にそう書いてある。
今、たぶんと言ったのは、
あまりにも文字が小さくて読めないのだ。
バスルームという場所は、おおむね暗い。
さらに、カーテンで締め切ってある。
ルクスが足りない。
そこにきて、この文字の小ささだ。
ボトルを作成している会社名と商品名は読めるのだが、
その
何であるかの文字が、最も小さい。
ボトルを持ち上げ、透かしたり、遠くに離したりしているのだが、
文字の小ささはいかんともしがたい。
普段、老眼鏡を使う必要のない私が、
「見えない」と嘆いている。
よし、あのやり方で決めよう。
文字の長短で判断するのである。
シャンプーが一番短いと断ずる。
そこまでは良かったが、
コンディショナーと
ボディシャンプーの長さはほぼ同じだ。
しかも、コンディショナーではなく、
リンスだった場合、
シャンプーより短くなってしまう。
このやり方はダメだ。
では、《ええいままよ方式》
でやってみるか?
一番短い文字のヤツを、ええいままよと頭にかけてみる。
泡立てばシャンプーであり、
泡立たなければリンスと判断される。
少なくとも、ボディーシャンプーで頭髪を洗う危機は回避できる。
やってみた。
泡だったので、シャンプーだ!
成功だ。
さ、次が問題だ。
頭にコンディショナーをかけたいが、
もし、ボディシャンプーだったら、
悲しい結果となる。
うぅぅ・・どうしたら・・?
そうか、先に体を洗えばいいじゃないか。
どちらかをかけて、
泡立てば、ボディシャンプー、
泡立たなければ、コンディショナー。
やってみた。
おおぉ~50%の確率を征服し、
見事ボディシャンプーを引き当てた。
という事は、残る一本が、コンディショナーだ!
あざやかな理論と、実践であった。
パチパチパチ!
ご満悦のまま、バスルームを出て、
ひきだしから拡大鏡をとりだし、
コンディショナーの文字を覗き込んだ。
そこに書かれてあったのは・・・
《Treatment》