《冷たい水風呂》があると、以前言った。
そこは、北八ヶ岳の麓、長野県の白樺湖だ。
湖畔に、
非常に冷たい水風呂に入れる浴場がある。
《すずらんの湯》
この風呂に、この半年に何回も通った。
その水風呂に何度もつかった。
しかし・・・
あまりの冷たさに、つかれるタイムは、最大で
40秒だった。
あの滝田くんでさえ、30秒で冷水から飛び出した。
飛び出したあげく、熱い風呂まで歩くのが辛いほど、
その水は、冷たかった。
「ふ・ふくらはぎが、コチコチに痺れてるぅ~」
よちよち歩きの滝田くんをコバカにしたもんだった。
そのすずらんの湯に、再チャレンジだ!
時は、春爛漫!
まさに、春一番が吹き荒れる頃・・
とはいえ、標高の高い白樺湖は、凍っていた。
湖そのものが凍り、表面に雪が積もっている。
ヒエ~~!
つまり、そんな所から吹き出てくる自然水が、
水風呂に満たされている。
さあ、チャレンジの始まりだ!
40秒を超えられるだろうか?
心して、足先からチャプンとつける。
胸の心臓にあたる部分に手を当て、そろそろと沈みこむ。
ゴクンッ
喉仏が上下する。
壁に架けてある時計の秒針を数える。
10秒・・20秒・・
一度目の挑戦で、40秒をクリアした。
やった!
コブシを突き上げ、即座に、温かい湯を目指す。
ふくらはぎは、やはりブルブル震えている。
もはや滝田くんをコバカにできない。
ザブ~ン!
お湯につかるや否や、体中に血液が快速で流れ出す。
この感覚は、アレだ!
正座を続けたあと、足をくずして、
急に血が流れ出す時にそっくりだ。
「ああぁぁ・・」
しびれる感覚である。
よし、二回目、行くゾ!
次こそ、新記録を目指すゾ!
じわじわじわ・・
冷水に体を沈めてゆく。
10秒・・30秒・・・・・・
いっぷん・・・
「ぷふわぁ~~」
やったやった!
一分をクリアした!
そのまま、熱い湯にダイブする。
よし、三回目。
結果を言おう。
一分30秒の記録を打ちたてた。
そして、4回目。
「どこまでいけるか?やってみよう!」
一分経過・・・
一分30秒経過・・・
2分経過・・・・
「あぁぁ・・・」
あ・危ないです、唇・ふ・ふるえるです。
まぶた、とじそうでぇ~す。
きろぉく・・たっせいでぇ~す。
あ・あぶなかった。
水風呂から立ち上がる気力が失せかかった。
どうでもよくなり始めた。
そこを何とか立ち上がり、熱い湯につかった。
結論;すずらんの湯は、チャレンジの場所ではありません。
素敵なお風呂なので、正しく、使用しましょう。
ハアハアハア・・・
凍る白樺湖