ホテルのバスルームで腕を組んでいる。
コレは何のためにあるのだろう?
その昔、若き頃、つまり20代の頃、
ホテルに泊まり、バスルームで、やはり腕を組んでいた。
「このタオルは、何のためにあるのだろう?」
そのタオルとは、<バスタオル>である。
バスタオルの意味が、解らなかった。
風呂から揚がったあと、水分を拭く為だけのタオルがあるなんて!
貧乏逼迫している役者には、理解できなかった。
毎日銭湯すら行けない生活をおくっている日々、
身体を洗った手ぬぐいで、
身体を拭きとるのが当然であった風呂は、
一枚の手ぬぐいで済ます行為とワキマエテいた。
そんなある日、ホテルに泊まった。
そこに、二枚のタオルがあった。
手ぬぐいでなく、タオルだった。
二枚とは、小さい奴と、大きい奴だった。
小さい奴は、理解出来た。
「手ぬぐいの、洋式バージョンだな」
ところが、大きい奴の存在理由が解らなかった。
「なんの為に、君は在るの?」
面白い事に、年月が経つと、理解できる事もある。
今では、バスタオルのレーゾンデートル(存在理由)が解る。
解るどころか、毎日我が家でも、バスタオルは必需品だ。
濡れた身体のその水滴を、
一網打尽に吸い取ってくれる大きなタオルは、
無くてはならなくなっている。
そこで、現在だ。
先ほど、ホテルのバスルームで、
その昔と同じような疑問が浮かんだ。
コレって、なんであるの?
《
フェイスタオル》
ハンカチほどの大きさのタオルが、置いてある。
ビジネス系のホテルには、無いが、
旅館系にはある。
フェイスという表現をしているのだから、
顔を拭けと命令している。
うん拭いてみよう。
拭いた。
この為だけのタオルだと解った。
しかし、この為だけなら、
通常の普通タオルで拭いたらいいんじゃないの?
むしろ、さっき身体を拭いたバスタオルで十分だと考える。
いや、拭かなくっても、たいした問題は起きない。
うぅぅ・・フェイスタオル・・
この先、いつか・・バスタオルがそうであった様に、
フェイスタオルを当たり前に使える日がくるのだろうか?