「今日、掃除けっこうです」
ホテルにいる。
同じホテルに、なが逗留している。。
ホテルという所は、
殆どの人が、一泊しかしないで去ってゆく。
ゆえに、毎日、部屋をまっさらな状態を保とうとする。
ところが、連泊する客も、当然いる。
私だ。
その私は、毎日、シーツを代えたり、枕カバーを代えたり、
布団カバーを代えたりして貰いたくない。
バスを毎日洗って貰いたくない。
小さいタオルとバスタオルを毎日代えて貰いたくない。
ちょっと触って乱れただけの浴衣を代えて欲しくないし、
使ってもいないスリッパを新調されても困る。
「今日、掃除、結構です」
この言葉を、10日連続、フロントに告げた。
10日は、圧倒的な新記録だ。
いくら、常宿としているホテルとはいえ、
ホテル側としては、不安極まりないだろう。
なんせ、部屋に10日も誰も入っていない。
中で、何が行なわれているのか調べようがない。
(まさか、爆弾作っているとか・・・?)
疑いを持つのが正常な感覚だ。
記録をつくるのが目的ではない。
なんとなく、「今日いいですよ~」
と言っているうちに、10日が過ぎたというのが、真相だ。
ゴミはどうしているか?
そこは、昼にお掃除に来る、掃除係りのお姉さんに渡す。
「コレ、お願いしま~す」
『タオルは、いる?』
「まだ、いいです」
まだの意味を理解して頂けないのは、仕方ない。
<まだ>とは、<ずっと>と同意義だ。
タオルくらい、自分で洗いますヨ。
干しますヨ。
なんだったら、掃除機貸してくれたら、床を吸いますヨ。
なんだったら、窓掃除もやりましょか?
ゴシゴシ~
実際、窓は、拭いている。