風景というものは、
だだっぴろい広い丘の上から眺めるのは、当然気持ちいい。
しかし、窓枠で囲われた景色も捨てがたい。
特に、日本人はこれが得意だ。
山小屋の窓から眺める森は、ただ森の中を歩いている風景とは、
違ってみえる。
ぬくぬくと暖かい山小屋の部屋にいながら、
外の厳しい自然に見入っている。
窓枠で切り取られる事によって、
想像が膨らむのかもしれない。
今しも、
右端から、熊が現れるかもしれず、
(そんな事、実際はないです)
次の瞬間には、
鹿のジャンプが見られるかもしれない。
(これは、時折あるです)
この感覚は、都会でも起こる。
高層ホテルの窓から、夕日を受けて輝く街を見ている。
エアコンの効いた静かな部屋にいながら、
街の雑踏を眺めている。
今しも、
右端から、飛行機が突っ込んでくるやもしれず。
(そんな事、ないです)
次の瞬間には、
車のクラッシュが見られるかもしれない。
(これは、実際、見たです)
画家や写真家は、常に、
世の中に窓枠を作って眺めている人たちなのかもしれない。
《切り取り屋》と呼んでいいのかもしれない。
空に二つの白い楕円形が見えるが、
部屋の明かりが窓に映っているのではありません。
UFOです。