「ハゲ割」
東京は赤坂の街中にある看板だ。
最近オープンした店(飲み屋)である。
表看板に、はっきり大書してある。
《悩みに悩んで毛が抜けて、それでも家族のために
頑張っているお父さんを全力で応援します》
裏側にはこう書いてある。
《家族を支えたサラリーマンを全力で応援します》
この店の方針を、書き記している。
頭髪が薄くなった男性客に、
なにがしかの割引をすると言っている。
お父さんの悲哀を受け止めようとしている。
あえて世間が触れないようにしている部分を逆手にとっている。
これだけ大きく大書してあれば、イヤが上にも目に付く。
話題にもあがる。
っと、ここまでは、宣伝看板として優れている。
そこで、実態はどうなのだろうか?
客には、
入る勇気がいる。
割り引いて貰えるという事は、
己が頭髪の状態を、堂々と世間的に認めたに他ならない。
まあ、それも良い。
この堂々と云うところが、潔い。
むしろ、認める事によって、腹がくくれる。
特に、この店だけは、味方なのだ。
そこで、この店の仕組みはどうなっているのだろう?
ハゲ割は
申告制なのだろうか?
それとも、従業員による
チェック制だろうか?
団体で行った場合、個人だけが割り引かれるのか?
それとも、全員が恩恵にあずかれるのか?
さらに、割引度合いは、クラス分けされているのだろうか?
Sクラス、AクラスBクラスなどの量的区別割引だろうか?
その線引きは、どうなっているのか?
つまり、私の友人のナカヒラ君と一緒に行った場合、
最高割引を受けられて、
その恩恵に私達もあずかれるのだろうか?
その場合、
Sクラスのナカヒラ君に皆は感謝し、
ナカヒラ君は、鼻が高くなるに違いない。
平等な割り勘に、首を振らないかもしれない。
「自分はタダだ」と言い出すかもしれない。
よし、近々、チャレンジしてみよう。
もちろん、ナカヒラ君同伴で!
Sクラス ナカヒラ君