博多に行くとやネ、夜、屋台に行くったい。
中州の川端を歩きよるとですネェ、
煌々と照らされた屋台が、ずらりと並んどるとですヨ。
「ここ空いとる?」
『ちびっと、ズってやって』
詰めて座らせてくれとば言いよる。
「ビールと焼き鳥ば、焼いてくれんと」
知らん者同士が、隣り合わせに座り、
チビチビとグラスを傾くっとヨ。
博多では、もはや屋台は営業できなくなると、
昔から騒がれながら、今だに無くならない。
ほぼ文化に近いものが出来上がってしまった。
コンクリーだらけの街中で、あのグダグダ感は、たまらない。
ネクタイ意味ない状態に憧れる。
とはいえ、博多の屋台は、それなりに立派である。
雨風をしのぐ構造になっている。
ガラガラと扉さえついている建物もある。
敷地もそれなりの広さの物件だ。
入口という考え方の扉がある物件すらある。
なんたって、屋号としての名前が、でかでかと大書されてある。
名前がある屋台なんて、日本には、ここしかないかもしれない。
名前があるので、待ち合わせにも使える。
「6時頃、大政でな」
久々の出張でも、お気に入りの店に通える
「山田に行ってラーメン食おうか?」
『どっちの山田?』
2号店まで、出店している人気の店すらある。
洋食、ウナギ屋、カクテルバーまで何でもござれだ。
ただし、生モンだけは、ご法度ちゅう事で、
刺身ば食いたきゃ、よそで食ったら良かとヨ。