宮崎県の、五ヶ瀬川を遡ると、
高千穂峡にたどり着き、さらに遡ると、
天岩戸伝説の地へと分け入ってゆく。
天岩戸へは、上流の渓流沿いに、遊歩道が出来ている。
しばし、涼しい木陰を進んでゆくと、
岩に穿たれた大きな自然洞窟が現れる。
≪高天原≫ (たかまがはら)
岩を閉じてしまった、
天照大神(おまてらすおおみかみ)の気を惹こうと、
神々が歌い踊った神聖な場所だ。
では、天照大神が閉じこもった
天岩戸はどこだろう?
キョロキョロ見回しても、見つからない。
地元の方に尋ねると、川の向かい側だと教えてくれる。
教えてくれるものの、どこにあるかは教えないと言う。
「行ってはならぬ」・・と釘をさされた。
マスコミ取材にも、応じないと云う。
『え~実は無いんじゃないのぉ~?』
恨めし気に視線をおくるが、
「ある!」
語気強く、おっしゃられた。
現生の遊興にあけくれる穢れた輩などには、
足を向けて貰いたくないのである。
今では、お土産物屋も数件並ぶ観光地であるが、
たかが40数年前には、
バスすら、日に2本走るか走らない寒村であった。
私が、お隣の大分県から、山を越えて歩いてきた時には、
たった5軒の農家が谷間に隠れていただけだった。
道路も舗装されていなかった記憶がある。
神々の話は、その数千年前である。
いい加減な気持ちで、近寄ってはならぬようだ。