グレてみた。
10年ほど前、しばらく休みがとれて、沖縄に向かった。
そこは、久米島(くめじま)だ。
ハイエースごとフェリーで向かう。
いわゆるペンクルをしようと云うのだ。
久米島は広かった。
人が少なかった。
のんびりどころか・・・
のおぉ~~~んびり~である。
大きな町というのはない。
最も有名な観光地、イーフビーチですら、
静かな浜辺だ。
そのビーチ近くでペンクルをしていた。
冬とはいえ、暖かく、
サイドドアを開けっ放しで眠っていた。
夜空には、星座がわからない程の満天の星!
グワァ~~~
イビキも満開であった。
「あんたらさぁ、ハブがおるでぇ~」
島ビトが、声をかけてくる。
「車に入ってくるでぇ~」
そっか、ハブがいる島じゃないか!
沖縄圏には、ハブがいる島といない島がある。
たとえば、奄美大島にはいるが、与論島にはいない。
その区分けは、未だ科学的に検証されていない。
ハブのいない島に、ハブを連れて行ったら、
死んでしまったという話すらある。
「はい、うちに来なさい」
オジサンが手招きしてくれる。
夕食を一緒にしようと誘ってくれたのだ。
海に潜って採ってきた、サザエだのアコヤ貝だの、
盛りだくさんの島料理で、もてなしてくれた。
焼酎は<久米仙>を生で。
「潜るとなあ、海中に洞窟があってナ」
『ど・洞窟ですか?』
「水深30mくらいの処に、横穴があってナ」
『ええ!』
「入っていくと、伊勢海老がゴッチャリおってナ」
『ゴッチャリ!』
「素人が入ると、戻ってこれんナ」
『ぼく・・素人』
島の西に、洞窟があった。
《○○ガマ》
名前を忘れてしまったのだが、語尾に<ガマ>と付く。
ガマとは、洞窟の事だ。
一応、観光洞として、料金を取っているが、
人が訪れている形跡がとぼしい。
しかし!
狭い穴をくぐった先には、
なんとも大きな広い洞窟が続いていた。
バスケットコートが何面もとれる巨大な空間もある。
さらには、未公開の洞窟が隣にもある。
なあ~るほど、こんな空間が海中に沈んでいれば、
さぞかし、沢山の伊勢海老がゴッチャリいる事だろう。
素人は、陸の穴で我慢しろという事か・・
巻末の写真、私の髪が、なぜか金髪になっている。
グレてみたと言ったのは、髪の事である。
久米島 とある丘の上