《ワラサばくちょう(爆釣り)中!》
釣り新聞の表紙が大袈裟にあおっている。
あおられたら、
行くしかない!
神奈川県は三浦半島の、行きつけの釣り船に乗船する。
釣り場は、東京湾の入り口の漁場だ。
どこからやって来るのか、
「ひいふうみい~」
70隻以上の遊漁船が集まっている。
それぞれに、10人~20人の、
「行くしかない!」ワラサファンが、雁首を並べている。
「はい、どうぞ」
船長の合図と共に、ザカザン~撒き餌を海底に放つ。
するとだ、体長60センチ以上、
3キロ4キロのブリの青年が、喰らいつく。
東京湾の入り口が、にわか戦場と化す。
その状態を、釣り新聞では、
《ワラサフィーバー》と呼んでいる。
そこで、ふと計算してみる。
今、70隻の舟それぞれに約10人が乗っている。
70×10=700人
一人が釣り上げるワラサの数は・・・
多い人は10匹、少ない人は0匹。
平均すると、2~4匹であろうか?
ソレを先ほどの人数に積算する。
700人×3匹=2100匹
一日に、およそ2000匹のワラサが、
海中から我らの元へと旅立った。
こんな日々が、一ヶ月以上続くのだ。
2キロ~4キロもある魚が、
一ヶ月の間に、(ちょっと略計算しただけで)、
数万匹、丘に揚がるのだ。
このフィーバーは毎年恒例となって続いている。
しかも、フィーバー後も、彼らワラサ君達は、
そこに居ついているのだそうだ。
私は、8匹のワラサ君を旅立たせ、
丘に帰ってから、魚好き仲間に舌鼓を打たせた。
骨以外、
全部食ってやる、成仏させてやる料理に、
酒がすすむのは、しかたない。
ほっぺたが落ちて、にやけるのは、いたしかたない。
こっそり、ため息をつこう。
ぁぁぁぁぁ ぅまいぃ~