これまで、鯖好きを豪語してきた私である。
魚=鯖とまで、言い切った私である。
鯖は魚の王様だと、信仰の世界に踏み入れている私である。
ところが・・・
しょうがない、告白しよう。
「私は、カツオファンである」
魚屋の店頭で、キョロキョロしていると、
つい、カツオに目がいく。
銀色に輝くカツオが気になる。
切り身のカツオには、さらにドキドキする。
その鮮度を、手にとって確かめたりする。
この時点で、
今夜の晩酌のオカズが決まったようなもんだ。
ハッと気付くと、カツオを買っている。
この現象を、私は、こう呼んでいる。
《カツオに逃げる》
スーパーや魚屋で、今夜の肴に迷った時、
最終的に、手に取る魚がカツオなのだ。
つまり、
迷った時は、カツオを買えば間違いない。
自分を説得できる!
「カツオでなんとかしよう」
これほどの簡単な説得で済まされるのは、
カツオが、力を持っているからに違いない。
ん・・?
あるいは、ぼくらが、長い間、
鰹節というダシで教育され続けた遺産だろうか?
カツオが旨いという舌を、先祖から頂いたのだろうか?
私は、サバ様に申し訳ないと頭をたれながら、
不遜な顔をして、
カツオの刺身に舌鼓をうっている。
昨夜も食ったというのに・・・