滅多なことで、ケーキを食べない私だ。
嫌いな訳ではない、むしろ大好きだ。
街を歩いて、ケーキ屋さんのガラスの窓に出くわすと、
目が横にらみの状態で、通り過ぎる。
買えない理由は、太る体質だからだ。
どこかで、引き締めを図る理由づけの為、
ケーキが目のかたきにされている。
ショーウインドーの前で、
食べられない、買えない口惜しさで、涎だけがこぼれる。
一年で、二度だけ、堂々とケーキを食べられる日がある。
<誕生日>
<クリスマス>
誕生日は分からないでもないが、
なんで、クリスマス?
答えは、簡単だ。
自分で勝手に決めた。
『この日だけは、ケーキ食い放題!』
日本一、ケーキが世の中に溢れる日。
溢れて、食べ残される確率が最も高い日。
もったいない精神が、この日だけは、踏み外される日。
ガラスの前で、マッチ売りの少女のごとく、
私がへばりついている日。
ゴクリッ
「丸で下さい」
勇気を持って言える日。
「丸ごと食べます!」
宣言する日・・・それが、
「♪~アイ、ウイッシュ、ユア、メリークリスマス!」