先日、ガチョウを食べた話をした。
そんな時、台湾料理屋<ファファ>から、連絡があった。
「イシマルさん、アヒルを食べませんか?」
なんでも、アヒルつまりダックを丸のママ調理したものを、
送ってくれると言う。
考えてみれば、北京ダックを食べるが、アレは皮だけである。
その身を頂いた記憶がない。
いつもあの瞬間に、ダックに申し訳ない気持ちになっていた。
(うわべだけでごめんね)
ひょっとしたら、ダックは身が美味しくないのだろうか?
とさえ、身勝手な評価を与えていた。
「ぜひ食べたいです!」
しかして、皆が集まった夕餉に、アヒル丸ママが届いた。
コンガリ焼かれた裸のアヒルは、
見た目、的には、ガチョウと変わりがない。
七面鳥とどう違うかと問われても、答えられない。
じゃあ、ニワトリとは違うんだね、と問い詰められても、
逃げ口上しか浮かんでこない。
(ふむ、コレを切らねばならんナ)
魚用の出刃包丁を取り出した。
(どうやって切るのだろう?)
ええい、ままよ、台湾で食ったガチョウ的でいいのではないか!
ザッコン、ザッコン!
小麦色の裸体に、出刃を振り下ろした。
骨ごと断つ感覚だ。
良い事に、空芯菜(くうしんさい)が手に入ったので、
ダックの上にのせた。(冒頭の写真)
ソレらしくなった。
皆の待つ卓上に差し出されたソレは、
見事なまでの魅力を放っている。
「わし、初めてじゃな」
タメトウさんが、箸を伸ばす。
「身は、食べたことがないワ」
ネーヤンが、香りをかぐ。
「オレはこの間、食べたよ~ん」
滝田君、アレはガチョウでしょ。
ガチョウとアヒルの区別がつかない滝田くんが、
口に放り込むなり、目をむいて喜んでいる。
あまりの旨さに、もんどりうっている。
その後、一羽のアヒルは、残らず、我らの腹にしまわれた。
ゲップッ
そして、その直後、私が、皆の前に、
冷蔵庫から出してきたモノをみて、皆の目がテンになった。
《もう一羽のアヒル丸ママ》