「野生の猪を食った事がありますか?」
先日以来、ガチョウを食っただの、アヒルを食っただの、
自慢にもならない話を散々している私である。
その私が、「猪を食ったか?」と、アナタに問うている。
あっ、言い換えよう。
「ちょっと前に、ズドーンと射止められた猪を食った事があるか?」
我が親戚が、ズドーンとやる猟師と親しかった。
よって、ズドーンの直後、
切り刻んだ肉塊を、届けてくれた。
さあ、どうする?
腕を組むまでもなく、当然、鍋となる。
イノシシ鍋だから、
ボタン鍋だ。
ドンッ、とまな板に落とされた肉塊を、スライスした。
土鍋に、野菜を入れ、それなりの味付けをし、
さあ、ここぞとばかり、イノシシの肉を放り込んだ。
冒頭に、「野生の猪を食った事がありますか?」と問うた。
その意味が、今明かされる。
仮に、猪の友人である豚を、鍋にしたとしよう。
豚さんは、グツグツ煮ると、固くなる。
ところが、
猪くんは、煮れど煮れど、固くならない。
鍋の中で、取り忘れ、相当長い間煮込んだ肉片ですら、
柔らかい状態を保っている。
これが、猪の特性である。
それも、自然の中で育った
野生の特性らしい。
イノシシを
喰らう時は、やはり鼻が膨らんだ。
ガルルルゥ~
鍋を前に、挑む気概が違った。
ギャオォ~ン!
喰らった後は、荒ぶる魂が雄叫びを挙げた。
一言で表せば、
「野生のイノシシは荒旨い!」
一時間以上煮込んだぼたん鍋