腕時計が苦手である。
時計の中で、腕にはめる腕時計が、苦手だ。
苦手という意味を説明すると、
「装着していられない!」
という意味である。
もう少し具体的に説明してみよう。
朝、左腕に腕時計を付けて、歩き出す。
昼、今何時だろうかと、ソデをめくり、のぞき込む。
すると、その時計が無い!
左腕から、時計が消えている。
なぜ?
《時計が消える》
この現象は、20代の頃から頻繁にみられた。
朝、腕につけたハズの時計が、いつの間にか消える。
不思議だった。
当時、時計は高価な機械であった。
自ら、どこかに捨てる様な物体ではない。
だのに・・消える。
ある日、喫茶店で友人に指摘された。
「時計、置いていくの?」
その時、気付いた。
私は、無意識に、
腕に付いているモノを、外すクセがあるらしい。
手首の周りに、
何かが付いているのが、気持ち悪いのだ。
ゆえに、外す。
無意識で外す。
この行為は、年代を経ても、変わらなかった。
飲み屋だろうが、撮影所だろうが、
手首に何かが、あれば、無意識に外す。
外し、その場に、置いてゆく。
置いてゆく・・・らしい。
それほど、手首に何かが有るのが気持ち悪いらしい。
前世で、手錠をハメられた経験でもあったのだろうか?
これまで、随分高価な腕時計を失った。
だから、今、私の腕にハメられているのは、安モノである。
千円!