世に、蟹好きは多い。
蟹好きにも色々ある。
ズワイガニ好きな人。
タラバガニに、舌鼓を打つ人。
毛ガニに、日本酒のお代わりをねだる人・・
さあ、そこで、私が好きな蟹は、コレだ。
《ワタリガニ》
渡り蟹と名前が付いたこの蟹は、どちらかというと、
南国系の蟹である。
北国の蟹が、足を主に食べるのに対して、
南国系のワタリガニは、
身体本体を喰らう。
いや、身体本体こそが、旨い。
ワタリガニ好きの人は、足の事は忘れて、
真ん中の一番肉が多い部分を標的にしている。
<あわよくば>、メスであれば、卵が見つかり、
あまりの旨さに、涙を流したりしている。
さらに、
<あわよくば>、蟹ミソの内臓された甲羅の裏を、
ホジホジしたりしている。
ホジホジした挙句、それ以上何も出てこないので、
日本酒の熱燗をたらし込み、
蟹の熱燗として、究極のひとときを楽しんだりしている。
そして、つぶやく。
「ほうらネ。蟹は、やはり、ワタリガニさ・・」
台湾の魚屋