紹興酒好きである。
中華料理が出されると、もれなく紹興酒を注文する。
日本酒に、様々な銘柄、好き嫌いがあるように、
紹興酒にも、銘柄があり、同じ銘柄でも、
取り扱い方によって、良し悪しがある。
20年ほど前、中国の<紹興>に行って来た。
紹興という名前の町である。
魯迅が紹興酒を呑んでいた町だ。
現場で呑む紹興酒は、それなりに旨かったのだが、
造り酒屋にも見学に行った。
日本の酒工場と違って、
大きなカメが、野天に並べられてある。
フタは無かった。
ある程度ねかした酒を、中くらいのカメに入れ、石膏で封印し、
長期間ねかす。
開封するには、
カメのフタのふちを、ノコギリで切りとるしかない。
中から出てくるトロリとした琥珀色の液体に、喉が鳴る。
その地で、一句、走り書きをしてみた。
《蠅や蚊も 麹のうちです もう一杯》
(コレが何のCMのパクリか解った方は、60才以上。
答えは最後に)
魯迅が、足繁く通っていたという、
紹興酒を呑ませてくれる店に立ち寄った。
そこでは、茶碗に一杯づつ小売をしてくれる。
買い求めた紹興酒を、店のテーブルで、ちびちびやる。
つまみは、ピーナツだ。
周りを見やると、鼻を赤くしたオイちゃん達が、
茶碗を重ねている。
そう、呑んだ茶碗は、卓の上に、重ねて置いてゆくのである。
何バイ呑んだかが、バレる仕組みだ。
呑みすぎる客には、売ってくれない。
茶碗一杯の量は、およそ250ml(一合半)。
3バイも呑めば、いい気分になり、歌でも唄いたくなる。
実際、歌いだすオイちゃんもいるのだが、
たぶんヘタクソらしく、皆が手を顔の前でふる。
声には出さないが、「やめろ」の合図だ。
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先日の台湾行きでは、紹興酒に似た酒を見つけた。
《黄酒》
紹興酒の原料が、モチ米であるのに対し、
黄酒は、米らしい。
紹興酒は、味がきつい。
黄酒の方が、さわやかな感じがする。
その分、アクがない。
そこで、我々は、この二種類の酒のブレンドを考えた。
混ぜ合わせるのである。
様々に試した結果、私の好みは、この割合に決まった。
《紹興酒3 対 黄酒1》
紹興酒マイルドと呼べるお酒に仕上がった。
他のメンバーも、それぞれのブレンドを楽しんでいた。
今、日本で、困っている。
黄酒が、見つからないのだ。
輸入していないのかな?
♪~ワタナベのジュースのモトですもう一杯~♪ byエノケン