ここに登場するのは、我が探検隊隊員、ヨウコだ。
スキーを、私と同時に、初めて始めた。
まったくの初心者である。
雪を見るだけで興奮する南系の隊員だ。
<雪下ろし>という言葉に、反応し。
ラッセル車をじっと睨んでいる。
恐らく「運転したい」のだと思われる。
さて、スキーではリフトに乗る。
私のリフトの乗り方は、忙しい。
リフトを降りたと思ったら、
すぐに両手に持ったストックで、こぎだす。
誰よりも急いで、斜面に向かう。
斜面に達したら、すぐさま、滑走を始める。
《滑走前の心構え》なんてのはない!
そして、滑り降りるや、リフト乗り場に、寸暇を惜しんで並ぶ。
さて、この一連の行為には、この言葉が浮かんでくる。
《せっかくリフトに乗ったのだから、元をとらなきゃ》
ところが、この《元の取り方》が、
隊員ヨウコと考え方が違うのである。
私の場合は、たくさんリフトに乗った方が、元をとった感がある。
ゆえに、
急いでスキーを滑らして降りてくる。
しかし、ヨウコ隊員の場合は、
ゆっくり降りてくるのである。
せっかくリフトに乗ったのであるから、
その恩恵をゆっくり味わおうという考えだ。
これは、
並んで入ったラーメン屋のラーメンを、
ゆっくり味わおうとする意識に似てなくもない。
元を取った感を味わっている。
さあ、アナタはどちら派だろうか?
たくさん乗って元を取る派か?
それとも、一度を味わう派か?
ちなみに滝田師匠はどちら派ですか?
「どっちでもないよ~ん」
『はっ?』
「どうでもいいから、ビール飲みにいこ」