《馬鹿の高あがり》と云う。
なんでもいいから、高い所がいいと上る輩がいる。
そういうことなら、私も馬鹿だ。
散歩していて、高台があると、つい登ってしまう。
自転車をこいでいて、上り坂があれば、そっちに向かってしまう。
マンションでも一階より、二階、上の方が好まれる。
山に登るのはその最たるものだ。
スキーのリフトでさえ、最も高い所にあがってしまう。
(おまえは、地下洞窟好きで潜っているではないか!)
それはそれで、別件扱いにしていただこう。
しかし、高ければ高いだけの代償がある。
階段状の宅地では、やはり高い場所が好まれる。
その代り、散歩では、必ず坂道を登らなければならない。
自転車でのおつかいは、帰りが大変だ。
高い場所では、風も強くふく。
洗濯モノは、常に鯉のぼり状態。
ホテルの部屋は、高い方が見晴しがいい。
1401号室。
14階ともなると、周りが一望できる。
民家の屋根を紅く染める夕焼けも、浴びられる。
ところが・・・
朝のラッシュ時には、エレベーター待ちが長い。
よもや階段で上がり降りする階数ではない。
その昔、ある夜・・・
「年に一回のエレベーター点検で申し訳ありません。0時~4時」
なんやと?
夜中の0時までに帰ってこいと張り紙がしてある。
帰ってこない場合は、歩いて登れとの厳命だ。
腕時計に目をやると、0時をちょいと過ぎている。
ポケットのキーホルダーを読むと、2308とある。
23階っちゃ、どげんこつネ。
誰が、そげな高い部屋とったんネ。
昼間ならともかく、お酒呑んで、足元不如意。
そういえば、チェックインの時、フロントから、
くれぐれもご注意をされていたな。
こらいっそ、朝まで呑んで、
エレベーターの始発に乗った方がいいんじゃないの。
ビルに映るスカイツリー