<列車ホテル>
ひょっとして君は、ずっと鳴っていたのか?
旅に出れば、目覚まし時計を持ち歩いている。
どこにでも売っている標準的な時計の君だ。
ピっピっから、やがて、ピピピピと移行する君だ。
ホテルに宿泊し、しばらくホテルを離れたりする。
その時、ホテルにカバンを預けておいたりする。
となれば、一緒に君も預けられる。
昨日、しばらくぶりに、君をピックアップした。
君の顔を見た。
ところが、ハリが動いていない。
どういうことだろう?
背部を開けてみると、電池が切れている。
こんな短時間で・・・電池って、切れる?
ひょ・ひょっとしたら・・・
目覚ましスイッチを入れっぱなしにしていたのか?
君と別れて今まで、
君の目覚ましスイッチは入ったままだったのか?
という事は、預けられた先で、君は、
叫び続けていたのかぃ?
ピピピピピピピピピピピピ
すまん・・
叫んでいた事を知っていたならいざ知らず、
知らずに君を放っておいたなんて、すまなかった。
え~と、何日、叫んでいたのかい?
電池が無くなるほどなんだから、とんでもない絶叫だよネ。
すまん・・
ん・・・?
君の絶叫を、無理やり聞かされた人達もいるのだわいナ。
その方たちのお怒りは、ど、どんなだろうか・・
ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ