「いや~昨日の夜の事、全く覚えてないよぉ~」
ゆうべ、たくさんお酒をがぶ飲みしたお父さんが、
言い訳がましく、述懐している。
「覚えていない」という言葉通り、全く記憶がない。
しかし・・・
実は、そこに面白い真実がある。
昨夜の時点では、相当の記憶があるのである。
記憶どころか、しっかりしているのである。
それが証拠に・・・
ベロベロになって帰って来た筈の状態で、
お土産のお寿司を冷蔵庫にしまっていたりする。
ちゃんと結び目もほどいていたりする。
ところが、その記憶はない。
朝になって、冷蔵庫に寿司を発見し、いぶかんでいる。
「誰だ、こんなモノ買ってきたのは?」
コレは私の話ではない。
某友人の証言だ。
私の場合、まだ、記憶がはっきりしている。
まだ、と言ったのは、なんとなく自信がないからだ。
「昨日の夜あった事を全部話せ!」
テーブル叩いて、刑事に追及されたら、
全部白状できるほど、記憶が鮮明でない。
ところが・・
その昨日の夜の時点では、こう考えている。
「今、ここで、起きている事を忘れる筈ないじゃないか」
さらに、
「なんなら、写真でも撮っておこうか?」
で、翌朝・・・
「なんだこの写真は?」
カメラ操作中に、見たことのない写真が出てきて、
改めて記憶が呼び起される。
(そういえば・・)
もし、写真を撮っていなかったら、思い出す筈のない過去だ。
特別恥ずかしい過去があるわけではないのだが、
忘れてしまっている自分の脳味噌に、苦言を呈したくなる。
「忘れ方が、無責任過ぎないかぃ~」
ライチの種