子供がガラスを割らなくなった。
近所で、ガチャンッとガラスの割れる音をとんと聞かない。
ガラス自体も、針金が入っていたりで、
丈夫になったセイもあろうか・・
小さい頃の私は、よく割った子供の筆頭であった。
その頃は、石をよく投げた。
ボールがまだ、貴重品だったので、代賛品として、石が使われた。
石を投げると、なぜかそこに小さなガラスの窓があった。
標的としては、随分小さいマトだが、
不思議と、的中していた。
ガチャンッ!
こりゃダメだってんで、建物の無い場所、運動場で、石を投げた。
ガチャンッ!
運動場に、あろうことか、自動車が停まっていた。
フロントガラスにクモの巣が出来た。
両親が、弁償に行った。
やがて、中学になるとボールを投げた。
マトに当てようとしても、そうそう当たるものではないのに、
不思議とガラスには当たった。
投げても、バットで打っても、当たった。
そのたびに、親が弁償に行った。
大人になっても、しばしば、ガラスは割れた。
ぶつかるモノが変わった。
石やボールを卒業した。
スッポ抜けたフライパンだったり、
倒れてきた自転車だったり。
大人になったのだから、謝る相手は、いない。
自分にガッカリし、自分で弁償した。
「最近の子供は、ガラスを割らないのか?」
少々じくじたる思いで、嘆いていたのだが・・・
ガチャンッ!
近所の子供が、我が家の窓を割ってくれた。
使用されたのは、サッカーボール。
よしっ!
少し、嬉しかった。
私の信条を語っておこう。
《子供は、ガラスを割る動物なり》