《天空の滝》 岩手県 真昼岳山麓
<滝の季節>がやってきた。
真夏は滝に限る。
日本という国は、異常なまでに滝が多い国土を持っている。
「日本の河川そのものが滝だ」と口泡をとばす外国人すらいる。
山の中に分け入ると、あっちにもそっちにも滝が現れる。
幻の滝などと名付けられる滝もあるが、
あまりの滝の多さに、もはや幻などと言ってられない。
そして、面白いことに、殆どの滝に名前が付けられている。
10m以上の高低差の滝ならいざ知らず、
5m、いや、3mの落差しかない滝ですら、
きちんと名前で呼ばれ、あがめられている。
さすがに、<瀑布>とは呼ばれていないものの、
<小滝>などと控えめに呼び、滝である事実をうったえている。
「うおおおぉぉ~」
滝が現れると、滝壺にむかう。
ジャブジャブと身体を沈めてゆく。
上方から落ちてくる銀の雫を全身で受ける。
世に「いっそ」という言葉があるが、
こういう時に使いたい。
どうせ濡れるなら、
いっそとび込め!
滝壺で、しぶきに打たれるのは、真夏の楽しみだ。
夏以外にソレをやると、修行と呼ばれるのだろうが、
今は、完全なレジャーである。
指を合わせる必要もなく、ただ両手を広げ、雄叫びをあげる。
「うおおぉぉ~~!」