今日は、日本酒が好きな方にのみ、お話をしよう。
日本酒はどうも?
ましてや、お酒は飲まない。
ましてや、お酒大っ嫌い!
な方は、すぐに出かけてください。
今日の話は面白くないです。
さて、ほとんどの方が出かけたところで・・・
アナタと日本酒の話をしよう。
《久保田》くぼた という銘柄の日本酒があるネ。
知ってるネ。
何種類かの段階に分かれているよネ。
その中から、よく目にする瓶を選りだしてみよう。
*表示価格は、メーカー希望価格で、実際はこの何倍かになる
《百寿》 ひゃくじゅ 920円 720ml 税抜き
特別本醸造
《千寿》 せんじゅ 1080円
吟醸
《紅寿》 こうじゅ 1500円
純米吟醸
この辺りまでは、知っている方が多い。
呑んだ方も多い。
さて、あまり世で見ていないのが、ここからだ。
《翠寿》 すいじゅ 2810円
大吟醸
ここらで、大吟醸と呼ばれ始める。
呑む酒というよりは、舐める酒に進化している。
さらに上がある。
《碧寿》 へきじゅ 2230円
純米大吟醸
ここで、純米大吟醸に出世する。
舐めたあと、唇をぬぐうようになる。
そしていよいよ・・・
《万寿》 まんじゅ 3640円
純米大吟醸
久保田シリーズの最高峰である。
純米大吟醸以上の言葉がないらしく、碧寿と表現が同じだ。
ここまでくると、舐めたりぬぐったりする前に、
嗅いだり、眺めたりしなければならない。
舌さきで転がして、「はぁ~」とかやらないと勿体ない。
自宅で呑むのならいざ知らず、ご馳走していただく場合には、
それなりの感嘆詞を用意しておかないと、失礼が生じる。
「おいしいですネ」
などと、通り一遍のセリフを吐いた日には、
アナタの出世は閉ざされるかもしれない。
ところが・・・
実は、久保田の最高峰はさらに上があった。
《洗心》 せんしん ?円
純米大吟醸
シシオドシがコツ~ンと鳴り響くお店で、
取引先からご馳走されるアナタがいる。
黒い漆塗りのこぶりな盃でいただく。
眺め、香りをかいでいる内に、
もう一回、シシオドシが鳴る位の間が望ましい。
唇を突き出し、ひとすすりする。
ここで、アナタの後頭部に衝撃が走る。
ガ~~ンなどと一般的な衝撃ではなく、
むしろ、除夜の鐘的な、ゴ~~ンでいってみよう。
口中、鮮やかな香りが広がる。
さあ、商談が決まるかどうかは、アナタ次第だ。
もし、盃から目を挙げた時、
アナタの目元に、薄っすらと涙がにじんでくれれば、
もう、商談は成立だ。
アナタは、久保田のシリーズの段階を上がるように、
○長から○長に階段を上がってゆく。
しかし、間違っても、
ボタリなどと大粒の涙を落してはいけない。
「うさんくさい奴」のレッテルが貼られるかもしれない。
百寿あたりで、歩留まりになってしまう。
この7種類の久保田を一度にいただくには、
7つの大きさの違う盃を揃える。
一番大きいのが、百寿であり、
最も小さい盃が、洗心となる。
どちらから呑むかは、アナタの好みである。
さて、甘党が戻ってくる前に、一口いきますか・・・