「イシマルさん、老眼は?」
撮影所で、役者仲間から質問がきた。
先日の、人間ドックの検査では、
両目<1、2>だと診断された。
去年と変わらない。
しかし、私はこの診断が、気に入らない。
診断の時に見せられた、上下左右のどこかが千切れた、馬の馬蹄。
最終の単位が、<1,2>だった。
それ以上はなかった。
つまり、私は、一番小さな馬蹄の千切れた所まで見えたのに。
「はい、いいですよ~」
ここで、検査は終わった。
おいおい、終わるなヨ。
もっと見せてくださいヨ。
身体検査とは、
身体がそのうち萎えてゆく過程を記録するのだと、思う。
っとなると、今の正確な数値を知りたい。
これ以上、測れないなどとでは、困る。
この先、どういう風に視力が落ちていくのかの、
最大指数を知りたいじゃないか。
私の<1,2>は・・<1,5>から落ちちゃったのか?
それとも、<2,0>から落ちちまったのか?
はたまた、<3,0>からなのか?
アフリカには、<6,0>の人がいるというではないか!
たぶんですネ・・私の目は、
右目は、1、2なんですが、
左目は、2、0までいけると、自負し、
目をパチパチしているのです。
《測ってもらえない悲しみに、我泣きぬれて岩とたわむる》