サップでイナダを釣っている。
海に出るたびに、イナダを釣って帰る。
釣果確率は、高い。
何パーセントかと、問われれば、
75%である。
つまり、4回に3回はおみやげを釣ってくる。
五郎丸のキック確立とさほど変わらない。
ここで、困った問題が起きる。
夕食には、刺身が欲しい。
私の望みである。
夕食は、豆腐と刺身とサラダで完結したい。
その刺身を自分で釣って来なくてはならなくなった。
「釣ってくる!」と、声高に宣言したからだ。
海に出る。
もし、釣れなかったら今夜の夕餉に、刺身は無い!
激しくプレッシャーがかかる。
(刺身がないというプレッシャーって、何やろ?)
サップのオールを漕ぐ腕筋肉が、悲鳴をあげている。
漕ぐ!
漕ぐ!
すると・・・
私の悲しみを和らげるが如く、夕餉の刺身の元が、
ガツ~~~ンと、竿をしならせるのだ!
(良かった、今夜も舌鼓をうてる)
ルアー(疑似餌)に喰らいついた魚くん。
ん・・・?
魚たちは、痛みを感じないのだろうか?
非常に鋭い針で、口の中は血だらけじゃないか。
もし、我ら人間に、この針を間違って刺したりすると、
ギャーギャーわめいて、天地がひっくり返った騒ぎになる。
整形外科医の大畠先生の出番となる。
しかし・・・
魚たちは、針を外した後、何もなかったように悠然と泳いでいる。
恨みがましい目を向けてきたりしない。
小さい魚をリリースすると、一目散に仲間のところに帰ってゆく。
彼らに
痛点はないものと思われる。
死に対する恐れはあっても、身体の痛みは、
さほど感じないのかもしれない。
我らの仲間内では、滝田くんに似ている。
実際、彼は、指に針がグサリと刺さったのだが、
糸だけプツンと切って、そのまま釣りを続けていた。
滝田くんに痛点は無い。
つまり、魚に近いと判明した。
サバ刺身