誕生日は誕生日に祝う、自分の祝日であるハズだ。
ところが・・
仕事が忙しかったりすると、
前もって祝われたりする場合がある。
事前に選挙に行くとか、事前に免許更新するとか、
「なんでも、早めに済ましておこうネ」的な、発想と思われる。
しかし、誕生日というモノは、
満に達してはじめて、享受するものであって、
まだ満たない内は、決して喜ばしいものではない。
大げさな言い方をすれば、
まだ頂いていないノーベル賞のお祝いをしているか?
のような気分にもなる。
「どうせ、数日後には、満になるじゃない」
いやいや、それまでに、何か起こるかもしれないし、
その数日がくるかどうかすら分からないではないか。
前もってやってくれるくらいなら、
通過した後にやってくれた方が、すっきりする。
入学のお祝いだって、入学した後にする。
卒業のお祝いだって、卒業した後にする。
葬式だって、通過した後にやるでしょ。
(葬式は祝いじゃなかった)
「♪~ハッピバースデイ、つーゆー♪」
ケーキの炎を吹き消し、皆で、ケーキを喰らう。
我が家のケーキの食べ方は、特徴がある。
ナイフでカットしたりしない。
皆がスプーンと皿を手に持って、ケーキの周りに集まる。
「さあ、どうぞ」
の合図に、それぞれがそれぞれの思いを込めて、
ケーキをすくい取ってゆく。
自由奪取である。
一見、取り放題とも言える。
しかし、そこで、それぞれの思惑がとびかう。
(もう少し取っていいだろうか)
(ヤスタニさんはあまり食べないから、その分)
(なんだよ、滝田くんは、爆食いしやがって)
そこは、大人である。
まるで、鍋をフリーで囲んでいる雰囲気がある。
鍋のお代わりをしている感覚で、ケーキにスプーンを伸ばす。
ザックリ!
(ま、イチゴは一個だけにしとこ)
(今夜の主役は充分取ったかな?)
(滝田くんは、まだ手を伸ばしているじゃないか!)
ザックリ・・
さあ、あと少しになったゾ。
どうする、誰が食べる?