《箸で切れるカツ丼》でございます。
《箸でも切れるステーキ》です。
柔らかいという表現に、度々、《箸で切れる》が使われる。
そこで、ウナギだ。
ウナギは、関東などでやられるセイロ蒸しをした場合、
箸で切れる。
皮さえ、柔らかくなっているからだ。
ところが・・・
先日、静岡県の三島市で、入った鰻屋。
「ウチの鰻は、しっかり脂を落として、
柔らかくさっぱり食べられます」
なるほど、お年を召してくるに従い、
あまり脂ぎった鰻はいかがなものか?
そこで、ウナ丼の前に、白焼きをたのんでみた。
やってきた湯気を立てている白焼き。
焦げ目が適度について、実に旨そうだ。
割り箸を、パチリ。
ヒョイと身を摘もうとした。
アレレ・・アレレ?
摘もうとした途端、切れてしまう。
簡単に持ち上がるハズの鰻の身が、
まるでケーキのように壊れてしまう。
つまり、極端に柔らかい。
乱暴な持ち上げ方を受け付けない。
そぉ~っと、あくまでそぉ~っと箸を持ち上げる。
持ち上げたものの、口元まで、持ってくる自信がない。
皿の上、10cmほどのところまで、口で迎えにゆく。
パクリッ
おおぉ~~~
溶けた・・・
霜降りの牛肉が溶けた経験はあるが、
鰻がかくも簡単に溶けるだろうか?
あまりの事に、箸をドンッとテーブルにおろし、
鰻の白焼きを睨みつけていた。
ふと、つぶやいた。
「この店は、若者が来てはいかんナ。
人生経験をしっかり積んでから来なくてはならんナ」
伊豆 踊り子号は、三島発